ピアノを弾きながらワーケーションができないもんかなぁ(´・_・`)
と思いながらいつものごとくGoogleさんにぼやいていると、
北海道にピアノ一棟貸しをされている施設があるというのを見つけました。
旭川の隣町、東川町に
「小西健二音楽堂」という、コテージのような一軒家の貸施設があるようです。
しかも、ピアノはベーゼンドルファー製…!
世界三大ピアノ
高級外国製ピアノ「ベーゼンドルファー」がある
ところでわたし、お恥ずかしいながら
ベーゼンドルファーというピアノのメーカーつい最近まで知らなかったんですよ。
もちろん弾いたこともなかったし。
高級なピアノといったら、スタインウェイだとばかり思っていたのですが
「スタインウェイ」「ベヒシュタイン」と並ぶ、世界三大ピアノのひとつだそうです。
(ベヒシュタインっていうピアノも、かわいいロゴに見覚えあるくらいでよく知らない^O^)
リストの激しい演奏に耐えた強靭なピアノ
超絶技巧で有名な作曲家フランツ・リストは
演奏の激しさゆえ、ピアノの弦が切れたりすることがたびたびあったそうですが
ベーゼンドルファーのピアノはリスト氏の演奏に耐えうる強靭なピアノでもあったそうですよ。
リストの演奏を聴いた人々の文献によれば、繊細ながら非常に情熱的で力強い演奏をしていたとされ、演奏中に弦が切れたり、ピアノのハンマーが壊れることが度々あったという。そのため、最初から3台のピアノを用意して演奏をしたこともあった。1台が壊れたら次のピアノに移って演奏、といった形である。また、オーストリアのピアノ製造会社であるベーゼンドルファーはリストの演奏に耐えた事で有名になった。
(引用:リストのWikipedia。光景を想像すると面白すぎて読むたび笑いがこみ上げてくる…
最初から3台のピアノ用意って、バラエティー番組みたいw)
ハイブリッドピアノにも音源として採用されていた
実は1年前、ヤマハさんにハイブリッドピアノを見に行ったとき
「コンサートで使われる、あのベーゼンドルファーの音を採用しているんですよ!!」
と、営業さんに言われたのですが
「は、はぁ。(なにそれ知らない^^)」という反応しかできず。笑
→コンサートピアノ音源を搭載したハイブリッドピアノ:AvantGrand
ベーゼンドルファーという、なんかすごいピアノがあるいうことだけは理解したのですが
弾いたこともないし、そんなピアノあるんだ~くらいにしか思っていませんでした。
そんな「すごいらしい」ピアノを、しかも贅沢に一棟借りできるなんて
興味が湧いて、その日のうちに予約していました!
(根暗なのに思い立ったらフットワーク軽い)
ということで、あまりよく知らない状態で
ベーゼンドルファーを弾いてみてどうだったか、
旅行記を兼ねて書いてみます(^^)/
※わたしの旅行記はどうでもいいから、小西健二音楽堂のレビューが見たいという方は、
こちらの文字をを押していただけるとすっ飛ばしてお読みいただけます!
久しぶりの旭川に到着
まずは久しぶりの旭川に到着します。
調子に乗って、先日買ったiPadでお絵描きしていたら早々に電車に酔ったカワグチ。
旭川には高校生の頃に3年間住んでいたカワグチですが、
(生い立ちに興味がある方はこちらの記事をどうぞ)
その頃とは良くも悪くもいろいろ様変わりしています。
旭川駅はリニューアルされて、とても広々してスタイリッシュで立派…!
中は木の素材感を感じる内装で、電車待ちの間に座る場所もたくさんあります。
西側にはイオンとホテルが直結しており、
東側には病院やドラッグストアなどメディカルモール的になっていました。
上の写真は、バスの停まっている左側のガラス張りの建物が旭川駅(北口)。
正面に見えるのがホテルとイオンです。ホテルがまるで駅みたいに映してしまったw
今冬は何度か豪雪がきていた影響か、積み上がる雪山がすごいですね…!
バスで東川へ
東川町は、旭川駅からバスで40~50分で着きます。(所要時間は路線による)
旭川駅でバス乗り場を探したのですが、駅の北口にタッチパネルの乗り場案内があってビックリ。
おかげですぐ探せました。
↓詳しいアクセスは最後のほうにも書きました◎
バスの通り道で、当時住んでいた家が一瞬見えて
土地勘もわからず6畳間で必死で生活していた高校生時代が
もうすっかり遠い昔に思えて、しみじみしていました。
アイデアが散りばめられた
写真の町、東川
東川町ははじめて行きましたが、「写真の町」のようでして
ところどころにアイデアや工夫が凝らされている街という印象で、
(地元の方か観光客かわかりませんが)にぎわいが感じられました!
おしゃれなカフェやご飯屋さんもちらほら見かけたなぁ。
色々回りたかったけど、胃は一つしかないので断念(´・_・`)
小西健二音楽堂について
元々は個人の所有する一軒家だった、このお家(音楽堂)。
住まれていらっしゃった小西さんは、
東川町ご出身の方で、ご定年された後に故郷の東川に帰郷され
このご自宅(のちの音楽堂)とピアノを構えて音楽を嗜まれていたのだとか。
今から10年ほど前に持ち主さんがお亡くなりになられた後、
故人のご遺志で町に寄付されたそうです。
ご本人にお礼を言えないのが惜しい限りですが
さぞ素晴らしいお方だったことでしょう…!
小西音楽堂の場所
ということで、町営の施設(もキレイだった!)で鍵を受け取り
早速音楽堂に行きます。
音楽堂は、東川町役場や東川中学校を数十メートル過ぎた場所にあります。
レンガ色の役場を通り過ぎてしばらく歩くと、
「東川文化ギャラリ―」という立て看板があり、そこを曲がるとすぐでした。
コンビニは近くに見当たりませんでしたが、町の中心部に位置し
徒歩圏内にお土産屋さんやカフェ、ご飯屋さんが数軒あり
食事には困らなそう。
※町外からの交通アクセスは最後に書きました
音楽堂の内観
元々は個人が住まわれていたおうち。
まるでお留守のお宅にお邪魔するような緊張感があります…!
おじゃましまぁ~す(^^)
入ってみると、木のぬくもりを感じる広々とした吹き抜けのリビングに
ピアノとチェンバロさんが佇んでいました。
これが噂のベーゼンドルファー…!!
右奥にあるのはチェンバロです。
一軒家で宿泊もできる
宿泊利用はしなかったので他のお部屋は見ていませんが
キッチンやお風呂、2階には泊れる個室もあるので
家族や友人、合宿などで宿泊利用することもできるそうです。
ピアノ側から見るとこんな感じ。
温かみがあって、一人で利用するには勿体ないくらい立派ですね。
Wi-Fiも使える
さらに、館内ではWi-fiも使えるので、
長時間滞在にはとても助かります!
リモートワークできる方だとワーケーションもできますし
動画配信やオンラインレッスンなど、工夫次第で色んな使い方ができそうですね。
家とは思えない
コンサートホールのような音響
さて、
ベーゼンドルファーのピアノ、どんななんだろう~と
良くも悪くも前知識もあまりないまま早速弾いてみます。
どんな音が鳴るんだろう。ごくり。
…えっ?!
弾いてびっくり。
ここ、家だよね…??!
吹抜に抜ける音の拡がりがすごい。
一軒家で弾いているとは思えない、
数十メートル先の観客席に飛んでゆくような心地よいエコーが
まるでコンサートホールのステージで弾いているかのように拡がります。
これはすごい…!!!
おそらく、吹抜はお洒落や偶然の産物ではなく、
音の響きや拡がりを計算し尽くして作られたんだろうな。
(自分の演奏がうまく聴こえる)
改めて見ると、音を遮る壁や柱が最低限しかないですしね。
ベーゼンドルファーのピアノという以前に
この音楽堂のこだわりの凄さに絶句。
持ち主さんの音楽に対する並々ならぬ思いを感じて、鳥肌が立ちました。
かつてはここでどんな演奏をされていたのでしょうね。
ベーゼンドルファーを弾いてみた音質
外国製ピアノらしい、太くて重厚感のある音でありながら、
音質は柔らかさを感じます。
音楽堂の音響のよさも相まって、
弾いた音の表情を非常に素直に反芻してくれます。
強靭な演奏に耐えうるピアノではありますが
「至福のピアニッシモ」と形容されるように、
激しめの曲よりも甘美な曲をきれいに弾きたいピアノだなと思いました。
夏に再訪したときの演奏ですが、こんな感じです!
あ、リストの曲も弾いてきましたよっ!
追記:
ベーゼンドルファーの試弾音源
この記事を書いてからしばらくして、
東京にあるベーゼンドルファーのショールームにも行ってまいりまして
色んなベーゼンピアノを試弾させていただきました。
ベーゼンドルファーのピアノが気になる方は
こちらの記事↑も併せてどうぞ(^^)/
音楽堂の予約方法
小西音楽堂さんは東川(ひがしかわ)町で管理されており
予約は下記サイトか、東川町へ電話して
空き状況を確認して予約することができます。
また、FacebookページInstagramでは
利用予定があるかどうかの空き予定や、音楽堂で予定されているイベント情報がご確認いただけます。
(2021年3月現在の情報ですので、
正確な情報や最新の情報は現地にご確認くださいね)
週末は空きがあれば宿泊利用も可能のようです!
管理されていらっしゃる方も音楽家さん
わたしが予約した際に対応して下さった長尾さんは、
ドートレトミシーという、ご夫婦でアコースティックユニットで活動されていらっしゃる音楽家さんでもあり
過去に小西音楽堂を利用された際に、音楽堂にご縁を感じて
関西から東川に地域おこし協力隊として移住してこられたそうです。
この音楽堂でも、コンサートやみんなで歌える催しを開かれていらっしゃり
地域おこし協力隊で音楽事業に携わられておられるのは、全国的にもレアなケースなんですって!
音楽への情熱が人を動かす
お二方の音楽人生に影響を与え、移住という一大決断をされるほど
音楽堂が魅力的なのも、なんだか頷ける気がします。
世代を超えて、音楽という共通項でつながって受け継いでゆく。
音楽愛好家から、音楽を生業とされる方へと
バトンを引き継ぐようで素敵な循環ですよね(^^)
東川町へのアクセス
旭川から東川までは電車がないので、
車かバスで行く形になります。
バス
旭川→東川のバス路線は3路線(60番・67番・76番)あります。
乗り場はすべて同じなので、
時間帯やご都合に合わせてちょうどいい路線を選んでくださいね。
最終便が19時台だったので、遅くまで利用したい方はご注意を。
所要時間は40~60分程度。(路線によります)
料金は片道580円でした(2021年2月現在)。
→東川町へのアクセス:東川町さんのサイト
道の駅「ひがしかわ道草館」という緑色っぽい建物(お土産屋さん)が
音楽堂の最寄りのバス停留所です。
道草館にも道草してきましたが
地元の食材やお酒、手作りお菓子などがたくさんあって面白かったです~♪
産直食材が好きな人ならきっと好きなはず。
駐車場もあるので車もOK
車の場合はお近くに駐車できる場所があるそうですよ。
(詳しくは現地にお問い合わせください)
実は空港が近く東京からの往来も便利
ちなみに実は、旭川空港からもすごく近いんです。
調べていてビックリしたのですが、なんとバス(66番)で12分。
料金は340円。羽田から都心に出るより安いですね…!
→旭川空港~ひがしかわ道草館のバス時刻表
旭川空港には、東京(羽田)便が就航しています。(JAL/ANA)
というか、札幌から東川に行くより、東京からの方が早いかもしれない。
喧騒から離れた自然でピアノを弾きたい首都圏の方も、北海道へぜひ(^^)/
近くには旭岳という山や景観で有名な美瑛があります。
登山が好きな友人やご家族と一緒に旅行というのも楽しそうですね。
(情報は2021年3月時点のものです。
コロナの影響等で変更している場合もございますので、正確な情報は各社公式サイト等をご覧くださいね)
まとめ:すぐ隣に夢の世界があった
わたしが旭川に住んでいた3年間は、
ちょうど元の音楽堂の持ち主、小西さんがまだご存命でいらっしゃって
ご自宅(のちの音楽堂)に住まわれて、音楽を嗜まれていたであろう時期でした。
当時はピアノを弾くことができず、
挫折感で灰色の日々を過ごしていた高校生でしたが
すぐ近くにこんな夢のような素晴らしい世界があったことや、
こうして15年ほど経った今、偶然知って訪れることになるなんて…(いま年齢計算した人手を挙げろ)
なんだか不思議な感覚に包まれています(・o・)
ミニコンサートができるご自宅って、いいですよね。
気の置けない仲間に集まってもらって、
ゆるりとピアノを聴きながら飲み食いしてくつろいでもらうの、憧れです。
(きっと、とても品のある方だったような気がしますから
果たしてここで飲み食いしていたかはわかりませんがw)
音楽家から音楽家への贈り物
ところで、この記事を書くために
ベーゼンドルファーのピアノについて調べていたら、価格を見てびっくり。
本来、わたしみたいな庶民が触ってよいものではないのでは…!!
もしかすると一生弾く機会もなかったかもしれない
希少なピアノ、ベーゼンドルファー。
そんな希少なピアノに、しかも
こだわり抜かれた素晴らしいお家で演奏させていただけて
お会いしたことのない小西さんのご厚意に
改めて感謝がしみじみと湧いてきたのでした!!