ブランクを経て復帰したピアノ弾きが
固定観念を破りながらやりたいことと向き合う過程を共有します

演奏音源の録音音質を改善。
高性能マイクと音楽用録音機を使って比較してみた

こんにちは、カワグチです!

曲を録音して演奏動画をアップして数年経ちますが、
これまでは、とりあえず撮れることが一番最優先だったため
音質や映像のクオリティは二の次でした。

こだわり過ぎて面倒になっては本末転倒

というのも、
動画を編集するのって、撮影する以上に労力と時間が要るので
肝心の演奏以外のことに手間をかけ過ぎて、動画を上げるまでに時間がかかったり
機材の準備や動画の編集のことを考えて、
ピアノの練習や撮影ごと面倒に感じてしまったり、ピアノを弾くモチベーションが下がってしまっては
本末転倒だと思っていたためです。

しかも、無料で公開しているものとなると
販売しているわけでもないものに高品質を追求するのもどうなんだろうなぁと。

ですので、音質も画質も優れているとは言い難いものでして
正直、自分が聴いていても、音割れてるなぁ…と聞き苦しいものも多く
いくら無料とはいえ、人に聴いていただく前提で上げているのに、
これを聴いていただくのは申し訳ないなぁと思っていました…
しかも、最近の動画市場のクオリティはみんなすごいですしねぇ。

それでも聴いてくださった方にはほんと、感謝しかありませんm(_ _)m

これまではiPad1台で撮影していた

ちなみに、これまで演奏をどのように撮っていたかというと
iPad(Air)1台で撮影を完結させていました。

【楽譜・メトロノーム・撮影録音】音楽演奏に必要な機材をiPad一台で完結させる可能性。

もうね、とにかく軽くて最高ですのよ…!!
楽譜も録音もこれ1台で兼ねてくれます。

わたしの持っているiPad Airは、B5より若干小さいくらいですが
持ち運びの利便性も考えると、ざっくり映し出すには十分。

※サイズ比較はこちらの記事↓をどうぞ〜

10.9インチ「iPad Air」は電子楽譜として使えるか。【結論】やや小さいけど楽譜が超軽くなりました

ちなみに、タブレットを買う前は
ZOOMというカメラ付きレコーダーで録音していたこともありました。
こちらも小型で気に入っていたのだけど、壊れて終了(^O^)

演奏録音用ビデオカメラ「ZOOM Q2n」を買いました!

※現在は販売終了しているモデルです

荷物が少ないと機動力が上がる

出かける時にカバンにiPad1枚さえ入れておけば
出先で時間ができたり、気分的にピアノが弾きたくなったときや、
上手く弾けたから撮っておきたいなという時に、気軽に録画を開始することができます。

iPad1台ですべて兼ねられると、
今日は録音機がないから…とか、楽譜忘れた…みたいな機会損失がなくて
逆にピアノを弾きに行く時も、わざわざ感が生じません。

単純にカバンの荷物が重たくなるだけでも、
出かけるのが億劫になったりすることってありますよね。

聴いていただくには
録音音質がいまいち

ですので、ズボラーなカワグチにとってiPad1枚撮りは最高で
画質も音質もそこまで悪くないので、そこそこ満足してはいたものの、
そろそろ、人に聴いていただくために公開している以上は
音質のこともちゃんと考えなきゃなと思うようになってきていたのです。

録音音質改善のために試してみたこと

前置きが長くなりましたが
今回、音質改善のために試みたのは、以下の2つ。

  1. 性能の良いマイクと録音機で録音する
  2. 録った音源の音質を調整する(整音

つまり、録音音源の音質を改善する、となると
大きく分けると

  • 演奏をなるべくリアルに近い品質で録音する
  • 録った音を、音割れを直したり臨場感ある音質に補正する

という、録音時と録音後の2つの段階に分かれます◎

今回は、②の整音のお話は文字数の都合上一旦割愛しまして、
①の録音機材について、改善したレビューに絞って
これまでのiPadで録った音質との比較と併せてご紹介します!

プロ品質の録音機材
(マイク・録音機)をレンタルした

ということで、今まで録音に使っていたiPadではなく
性能のよい、音楽録音に特化した録音機を使用してみることに。

前述した通り、自分で機材を揃えてスタジオに持っていくと大掛かりになってしまいますし
どの機種が良いとか、何の性能を重視するか、まず使ってみないことにはわからないので
ひとまず購入ではなく、スタジオさんでレンタルしました。

録音機材を購入ではなく
レンタルするメリット

録音機材を持ち歩くと、重たいのもそうですが
移動中に高価な機材をぶつけたり雨に濡れたりするリスクもありますから
現地で貸し出ししていただけるのはとてもありがたい。

しかも、スタジオに備え付けの機材がある場合
オーナーさんやスタッフの方が機材の設定やうまく録れる配置など、慣れて熟知されておられる場合も多いですから
自分で適当に扱うよりも、きれいに録れる確率が高くなります。

ハンガーフックにスマホを引っ掛けた図

自分でやるとこんな↑になるのでw
設置込みの有料レンタルでお願いしてみました。

今回お借りしたスタジオ

今回、機材レンタルも含めてお借りしたスタジオさんは
荻窪のピアノスタジオ兼レコーディングスタジオの、スタジオシンフォニアさん。

状態のよいグランドピアノもあり、
さらに、オーナーさんが音のプロ(作編曲家さん)ということもあり、
レコーディング環境や防音設備が驚くほど充実しています。

★詳しいレビュー記事はこちら↓

本当は教えたくない隠れ家スタジオ。荻窪「ピアノスタジオ シンフォニア」さんをご紹介します!

演奏動画を観てくださっている方はお気づきかもしれませんが
設備もピアノの状態も素晴らしいので、
カワグチはじっくり録音する際は、最近ではこちらのシンフォニアさんを贔屓にさせていただくことが多くなりましてね。

音に対するこだわりに妥協のない、信頼のおけるスタジオさんなので、
この機会に色々と録音についてお聞きしながら試させていただきました(^^)/

機材の設置から本格的

いざスタジオに行ってみると…

おおお!!!
プロピアニストさんがレコーディングするみたいだ!!

ピアノの音が一番リアルに録れる、弦の近くにマイクを配置してくれていました。
これは自分で設置できる自信がありません。スタンドや接続コードも要りますしね。
お願いしてよかった…!
借りるべきは経験知ですね。

レンタルした録音機材

今回レンタルした機材は

を貸していただきました。

録音機自体も性能の良いものですが、
さらに音質よく録れるように、別のマイクを2本接続してくれています。
(両端のシルバーの筒状のがコンデンサマイク)

ヘッドホンも、一般的なイコライザのかかった音楽鑑賞のためのものではなく
生音(原音)を忠実に再生してくれる、モニタリング用のヘッドホンを貸していただきました。

これはすごい(^O^)
こんなにセッティングしてもらったからには、うまく弾かなきゃ。

録音機の操作

録音機の操作はセルフで行いました。
(操作に自信がない方や、より演奏のみに集中したい方は、
操作までお願いできるプランもあるはず)

操作といっても、録音機のON/OFFを押すくらい。
わたしは演奏の度に押すと「今から録ります!」的なプレッシャーでミスしたり、硬い演奏になってしまうので
何テイクか録りっぱなしにしておいています。
(だからたまに変なポーズが撮れる)

micro SDカードが必要

録音データの保存はmicroSDカードで書き出しますので
SDカードだけは持参して行きました。

ちなみにわたしは32GBを持っていますが、(都度フォーマットしていれば)
数時間のレンタルで容量が足りなくなって困ったことはないです。

※追記
音声のみであれば32GBで十分かと思いますが、
映像も込みで、特に4Kなどの高品質な録音条件で撮影する場合は64GB、
可能であれば128GBあったほうが安心かと思います。

聴いてみた感想

弾いた音源を早速
その場で(ヘッドホンも高品質)聴いてみると…

自分の演奏が3割増しでうまく聴こえるではないか!

しかも、音を人為的にいじっているわけではなく
性能の良いマイクで撮っているだけ。
聴いているのは紛れもなく、自分の演奏そのものです。

弾いているほうと観客側でも聞こえ方が違う

あと、意外とピアノを弾いている弾き手側と
蓋が開いている聴き手側で感じる音って、全然違うもので
弦のそばにマイクを設置して録った、雑味のない音は
弾いているときに自分側に聞こえているよりも、きれいに響いていて感動しました。

余談ですが、意外と譜面台が音の妨げになったりもするのですよね。
例えばヤマハさんから出ているエスプレッシーボという譜面台が開いたモデルがありますが、
あのデザインはおしゃれのためではなく、弾き手側に音をできるだけ通すためなのだとか。

iPad vs TASCAM音源比較

実際にレンタルした録音機+マイクで録音した音源と
映像撮影用に右正面からiPadで撮った音を比較してみると、差がわかりやすいかと思います。

(曲:ショパンエチュード Op.25-10

弦の近くで録っているだけあり、音の減衰というか、散乱が少なく
特に低音の深みが違うのが、音に詳しくなくても感じられますね。
※整音前の、録音機で録ったままの音です

演奏の技量は一旦置いておくとして、
雑味のないこっくりとした音は、ピアニストのCD音源のよう。
なんだか、久しぶりにクラシックを聴く喜びを心から味わった気がしましたよ…泣

波形を見ても一目瞭然で
上(青)がiPad、下(緑)が録音機で同時刻に撮った波形ですが
iPadで録った波形のほうがビリビリして、ところどころノイズが入っているのがわかります。

iPadも音質が悪いというほどではないのですが
ここまで差があると、なんかちょっと、今まで損していたような気になりました。笑

今回お借りした機材とプラン

ちなみに今回お借りした、スタジオシンフォニアさんでは

を貸していただいて
室料(ピアノ込)の他に、
機材の貸し出し + セッティング込みで1800円(!)でした。
(録音機操作や音の取り込みはセルフの場合)

普通、録音スタジオで録音させていただくとなると、数万円はくだらないのに
レンタル室料と合わせても1万円にも満たない予算で録音することができて
恐縮してしまうくらい良心的な価格ですm(_ _)m

※価格やサービス内容は2024年1月現在のものです。
最新かつ詳細な情報は、スタジオさんの公式サイトをご覧ください

練習の機会を削らなくても良い
良心的な価格

社会人ピアニストって、録音以前
練習時間や場所代を確保するだけでいっぱいいっぱいで
そうなると、いざカメラを向けられた環境では、練習不足ゆえ
数時間レンタルしても良いテイクが1つも撮れない可能性もあります。

演奏撮影の難しさ。「人に聴いてもらう」もひとつのモチベーションだった

ですので数万円の録音代を出すくらいなら、練習に充てたほうがいいや、と諦めがちで
レコーディングができる環境に手が届くこと自体が、非常に貴重ですよね。

配信や音源調整もお願いできます

他にも、スタジオ内には備え付けのPCもありますので
上記の機材にプラスで、PC・ソフトの使用も含めると3000円、
音のプロのオーナーさんに音の調整も込みでお願いすると3500円など
用途や習熟度、手持ち機材に応じて色々なオプションでお願いできます。
→機材・配信のレンタル料金

CD・コンクール用音源の製作から配信まで、
色々な用途で使用できますね。

最近はオンライン審査のコンクールも増えましたしね。
音大受験なんかもオンライン化しているのでしょうか。

録音した音源を持ち帰ってしまうと、
どのテイクが良いやつだっけ…と、後から聴き直して探すのが意外と手間になるのですよね。
ですので、録った音源を持ち帰る前に編集してしまいたい、配信したい、という場合は
その場で音源の公開まで完結することができて、タイパがとてもよいです。

全部自分でやろうとするより
費用対効果が高い

録音機材の性能や扱いはもちろん、配置のコツのような勘所も素人にはわかりませぬし
繰り返しになりますが、演奏以外の作業に煩わされたくない方は特に
慣れている方にお願いできると、かなり身軽になり機動力が上がります。

こういうのをケチって自分でやろうとすると、何時間もかかってしまったり
機材をうまく扱えず予期せぬトラブルが起きたり
そもそも面倒に感じて最初からやらなくなってしまっては勿体無いですから
プロの手を借りて時短し、自分の時間は一番得意なことに充てるのをモットーにしています(^^)/

さらに音の響きを微調整

このままでも十分テンションが上がるレベルの音質ですが
この高音質な音源をさらに、大きすぎて割れてしまった音を調整したり
マットな防音室内で撮った生音に、少し響きの効果を足して、
臨場感がある音に微調整(整音)をします。

今回は文字数の都合で詳細は割愛しますが
また機会があったら別の記事でご紹介します〜。

まとめ:音がいいと気分もいい

正直ね、これまでは
音質改善よりも演奏の腕のほうが大事だと思っていたので
演奏のクオリティ自体が大したことない段階で
いくら音の質をこねくり回したところで、たかが知れているよねぇ…と
マイクや録音機の性能にはさほど期待していませんでした。

あとね、自分の弾いている音を人工的に加工するような感覚もあり
ちょっと後ろめたさのような気持ちもあったのですよ。

しかし、試しにという気持ちでレンタルしてみたら
全然違った!というのが感想でした。
しかも、マイクと録音機を高品質なものに変えただけで
元の演奏音源は、自分の演奏そのものですからね。
(その証拠にミスもそのまま)

撮った音がきれいに聴こえると、
自分の演奏がうまくなったみたいで嬉しいですし(笑)
もっとかっこよく弾けないかなと、弾く気も俄然アガります。

聴いて気分が良くなることこそ
音楽の目的

つまり、音がちょっと良くなるだけで気分がいいよね!
という至極感覚的で単純な結論なのですが…

音の美しさ自体もそうですが、
演奏の聴こえ方を改善したことによって
もっと聴きたくなる、もっと弾きたくなるなら
それってもう、音楽を聴いてもらう目的そのものであって、
音質改善は大成功ではないでしょうか。

音割れを気にして音量を下げ気味で聴く必要もありませんし
ずっと聴いていても耳にストレスがかかりにくい。
(というか、音楽聴いてストレスなんて悲しいですよね)

食べ物でも、室温や保存環境に工夫を施したら鮮度が変わるように
写真でも、ちょっとした光の当たり方や背景とのバランスで見栄えが変わるように
せっかく元の音(演奏技術)が同じなのであれば
少しでも美しい音でお届けするための工夫は、する価値があるかもと思うに至ったのでした◎

デメリットがあるなら

あえてデメリットを挙げるとすると、無料ではないのと
物理的な制約があること(例えば蓋を開けたらダメなスタジオでは難しいなど)、
iPad1台で録音・撮影・編集まで完結させていたのと比べると
映像と音を合わせる必要があり、編集が一手間増えることくらいでしょうか。

【楽譜・メトロノーム・撮影録音】音楽演奏に必要な機材をiPad一台で完結させる可能性。

音の取り扱いについてはまだまだ素人ですが
これからもみなさまになるべく良質な音をお届けできるよう
工夫して精進してまいりますっ。
(これまで通り、iPadも使い続けると思いますけれどね!)

スタジオシンフォニアさんについて

本記事の撮影・機材を使用させていただいた
ピアノスタジオシンフォニアさんのサイトはこちらです↓

※記事内の価格やサービス内容は2024年1月現在のものです。
最新かつ詳細な情報は、スタジオさんの公式サイトをご覧ください

当サイトの記事もご紹介いただいておりますm(_ _)m
→演奏動画の音声クオリティーを上げよう(ピアノスタジオシンフォニア様サイト)

長くなりましたが、
貸出している機材や録音環境はスタジオによるでしょうが、
演奏クオリティと気分を底上げするための一例として
ご参考にしていただければ幸いです(^^)/

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