こんにちは、
ピアノ演奏家のカワグチです!
わたしはショパンの曲が好きで
弾く曲はほとんどがショパンさまの曲だったのですが
ここ最近は、
ショパンさま以外の曲を弾くことが続いている気がします。
夏にアップしたリストや、
秋に練習していたドビュッシー、
今挑戦中のラヴェルなど。
意識して「たまにはショパン離れしよう!」としているわけでもなく
たまたまその曲を弾きたいと思ったから、弾いているだけなのですけれどね。
爆音系ピアノ弾きが
きれいな曲を弾くようになった理由
ただ、
これまでは激しくてヒステリックな曲が好きで
長くて爆音系の曲をよく弾いていたのですが…
爆音系ピアノ弾きが、
きれいでおとなしめの曲を続けて選ぶようになったのには
きっかけがありまして。
今日はそのお話をしてみたいと思います。
爆音系大曲は
弾ける場所が限られる
長くて激しい曲って、
弾ける場所が限られるんですよね。
音量もでかいし、ヒステリックで暗いし
10分以上ピアノを独占することになってしまう。
発表会やコンクールなど
用意されたステージであればもちろん何も問題はありませんが
ここ最近は、そういう機会があまり設けられずにいるので
せっかく大曲を弾けるようになっても、どこで弾くでもなく
持て余してしまうことが続いてしまっていました。
各地のピアノを弾いて回って
感じたこと
そこで、もうちょっとお手軽に弾けて聴ける
駅や飲食店、テーマパークのストリートピアノなど
一般の方が往来する公共の場所で弾かせていただくことが増えて
TPOを考えるようになったわけでございまする。
まぁ、ストリートピアノでも爆音系の曲を弾いている人はいますし
そのほうがかっこいいし、注目を集めやすいのも、たしかにそうですし
わたし自身も、一般の方に演奏を聴いてもらいたいからこそ弾いているのは事実ですが…
そこに居る人って、あくまで駅やお店、施設の利用者さんであり
ピアノを聴きたいと望んでそこに居るわけではない人だと考えると
演奏会とはまた違ったプレッシャーを感じるのですよね。
うるさいって思われたらやだなぁとか
後ろでずっと順番待ちされたら落ち着かないなとか
ここのBGMとしてふさわしい曲ってどんなだろう…とか。
(持ち曲が暗い曲ばっかりw)
「その場の空気」として
最適なピアノ曲
用意された演奏会のステージとの一番の違いは、
自分が主役じゃないこと。
あくまで、そこに居合わせたお客さんや通行人の方が主役で
ピアノで雰囲気を華やかに盛り上げたとしても、
元々のその施設の利用用途は阻害しちゃいけない。
そう考えると
2~3分でサクッと弾けて、穏やかな曲調の曲が無難かな。
というところに収まったのでした。
音楽を望んでいない人に
聴いてもらう際のマナー
これは、音楽に限らずかもしれませんね。
ストリートダンスとか、移動販売とか。
そのものの質がいくら良かったとしても
場面にふさわしくなかったら、ひとたび迷惑者になってしまいかねない。
という意味では、アウトプットに適切な場所を考えるのって大事だなぁと。
(とはいえ、ピアノの場合はまだ
ピアノが置いてある以上は、音出しすることは想定されているでしょうけれどね)
一生懸命練習した曲が歓迎されず
ただの騒音とか迷惑に思われてしまったら、こちらも悲しいですしね。
自ら仕掛けることに過剰に遠慮してしまうという意味では、
自分はストリートピアニストには向ていないなぁとつくづく感じたりもします(´・_・`)
「お古」のピアノが多い
それから、もう一つ
同じくストリートピアノなど
各地のピアノを弾いて回って気が付いたことがありまして。
無料開放してくださっているピアノって、
過去に、学校や施設などで使っていたけれど
今はもう使われなくなり、寄贈されたピアノが多いということ。
つまり、一度現役を引退しているなど
年季の入った「お古」のピアノが多いことに気が付きました。
いざ弾いてみると、音が狂っていたり
鍵盤や本体にグラつき(?)や軋みを感じることも時々あります。
ピアノさんにとっては第二の人生、余生的な場所なのでしょう。
それはそれでとっても素敵な生かされ方だと思います(^^)
だからこそ、これまで大切に使われてきた歴史や思い入れを考えると尚更
力を込めてドカーンと弾いてしまうのは、ちょっとしのばれるなぁと感じたのでした。
あくまで飾り的な役割
ピアノが置いてあるとはいえ、コンサート会場ではありませんから
あくまで飾り的な要素がメインで
おまけとして、ちょっと音を出して弾いて遊んでみてもいいよ、的な位置づけのものが大きいのかなと。
猫ふんじゃったとかね。
良いピアノ=状態が良い
とは限らない
ストリートピアノに限らず、ライブハウスやジャズ喫茶など
ピアノ演奏やミニライブができるお店のピアノも
音が狂っていたり、鳴らない鍵盤があったりするのはよくあること。
そしてそれって、
グランドピアノや立派なピアノだからといって
コンディションも良くていい音がする、とは限らないのですよね。
状態が悪い生ピアノ < キーボード
がベターな選択のこともある
これは余談ですが
以前、ジャズを習っていた新社会人の頃
カフェでスクールのミニライブに参加させていただたいた際に
「ピアノの状態がよくないからキーボードでやろう」となって
せっかく弾きに来たのにキーボードか…と、ちょっと不満だったことがあるのですが(笑)
その直後くらいに、尊敬するピアニストさんが
「生ピアノよりキーボードのほうがベターな場合もある」といった内容のツイートをされていて↓
なるほどなぁと思ったのでした。
グランドピアノで聴いてみたいとか、グランドピアノみたいだったと言われると素直に嬉しいです。ピアノがない場所でライブする機会も大事なのでキーボードを使っています。毎回ピアノを運んでこれれば問題ないのですが、建物によっては無理だし予算もかかります。箱のピアノが良いものとは限りません。
— JOSEI (@joseipiano) July 10, 2016
ピアニストならそこにある楽器がスタインウェイでもヤマハでもキーボードでもうまく弾けるでしょう。最高の楽器ではなくても、その楽器の特質を生かしつつ、自分のやり方で演奏できます。でもできるだけ最高の楽器で弾く時間を持ちましょう。それがピアノを感覚的に理解する事に繋がると思います。
— JOSEI (@joseipiano) September 30, 2016
こちらのツイート↑は6年も前のものでして
ずっと頭の中に残っていたのですが、
いざ自分が各地の色んなピアノを弾いて回ってみると
なんとなくわかる気がしてきた、6年後の今日この頃です。
そして、質の良い楽器で感覚的に理解して
楽器の特質を生かす重要性については、激しく同意!!!
結論:機会を活用しつつも
場面によって弾き分ける
ということで、
- その場に置いてあるピアノや環境面
- そこに居合わせた人や場面に合わせて弾くこと
を考えると、
穏やかめな曲が最適解かなぁと思うに至ったのでした(^^)/
思ってみると、こういう持ち曲が少なかったので
レパートリーを増やすにも、ちょうどいい機会になっています。
色んなテイストの曲があったほうが、場面に合わせて使い分けられますしね◎
まぁ、実際はミニマム女がちょっとやそっと難曲を弾いたくらいで
常識的な使い方をしていれば、壊れることはそうそうないでしょうし
もちろん、新しいピアノだからといって乱暴に扱っていいわけではないし
そもそも壊すような弾き方はしませんけれどねっ!
クオリティにこだわるなら
環境を買うことが必須
結論としては
やっぱり、ちゃんと弾きたい・ちゃんと聴きたい
演奏そのものや観客の質にこだわりたいなら
無償で提供してくれている場所ではなくて、
演奏用に整えられた環境を使うというのがベストだなとも思います。
別に高級なピアノでなくとも、大きなコンサートホールでなくとも
手入れされ調律されたピアノだったり、音響面だったり。
ストリートで弾ける機会が増えたのは、素晴らしい試みですし
ピアノ演奏者や気軽に聴きたい方の接点を増やしてくれますが
質を考えると、無料の環境で完結しようとするのは、やっぱり無理があるのかなと。
とはいえ、無料で提供していただいている以上
そういった環境に不満をこぼすのはナンセンスですしね。
空間ごと作り上げてこそパフォーマー
音楽って、空気づくりだと考えると
ピアノ演奏に最適な環境選びも、パフォーマーとしての仕事の一つなのかなと思います。
演奏者にとっての安心感は
確実に音にも乗ってきますしね。
ということで、ストリートだけに特化するつもりはないですし
激しくて長い曲もやっぱり好きなので
ヒステリックな曲も弾き続けますよ!(^O^)